会計とERPの専門知識を併せ持ち、企業の課題を業務とシステムの両面から解決へ

ビジネスエンジニアリング株式会社
ソリューション事業本部
デジタルエンタプライズ本部 エンタプライズソリューション2部
シニアコンサルタント
鄭 岑(てい しん)

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日本の大学への留学を機に2006年に初来日、その後、進学した大学院で会計学の理論とERPパッケージの実践スキルを学んだ鄭岑(テイ シン)は、新卒でB-EN-Gに入社し、念願かなってERPコンサルタントとしての歩みを開始した。

とくにSAPシステムの機能モジュールを連携させて実現する自動仕訳や有償支給、在庫管理などを得意領域とし、常に誠実さをもって課題解決に臨む鄭の姿勢は、製造業を中心に多くの顧客から高く評価されている。

仕事と家庭・育児を両立しながら日々奮闘する鄭は、いまやB-EN-Gを代表するERPコンサルタントの一人だ。

ERPのプロフェッショナルを目指してB-EN-Gへ

パートナーと力を合わせて仕事と家庭・育児を両立し、共に持てる力を発揮しながらキャリアを磨いていく――。多様性が尊重される社会で望まれるライフスタイルだが、実践するとなるとなかなか簡単ではない。

そうしたなか「仕事で輝いてこそ家庭でも輝くことができます」と語り、SAPシステムを中心としたERPコンサルタントとして活躍するとともに、夫婦で分担しながら日々の家事や子育てに奮闘しているのが、ソリューション事業本部 デジタルエンタプライズ本部 エンタプライズソリューション2部の鄭岑(テイ シン)だ。

中国・江蘇省の省都である南京市で生まれ、大学で日本語を学んだ鄭は、3年生時の2006年に日本の大学へ留学することになった。

「もともと日本のアニメやアイドルグループの嵐が大好きで、いつかは日本で暮らしてみたいと思っていました」(鄭)

編入した大学では主に法律を学んだのだが、より大きな興味が湧いてきたのが同時に履修した簿記だった。そこで進学した大学院では専門的に会計学を学んできた。

こうしてすっかり日本に定着した鄭が、2010年に新卒での就職先として選んだのがB-EN-Gだった。

「大学院では会計学の理論を身につけるとともに、さまざまなコンサルティングファームやSIベンダーから来られた外部講師の方々に、ERPパッケージの導入・活用についてかなり実践的な知識を学ぶことができ、私としてはこの分野のプロフェッショナルになりたいと考えました。そんな思いや意欲を最も高く評価し、尊重してくれたのがB-EN-Gでした」(鄭)

製造業へのSAPシステム導入で手腕を発揮

念願がかなってERPコンサルタントとなった鄭は、大型機械メーカーや医療機器メーカー、電子部品メーカーなど、多くの製造業におけるSAP ERP(ECC)やSAP S/4HANA、SAP Aribaの導入プロジェクトで手腕を発揮してきた。なかでも得意とするのは、SAP MM(購買在庫管理)、FI(財務会計)、CO(管理会計)といった機能モジュールを連携させて実現する自動仕訳や有償支給、在庫管理などだ。

例えばあるお客さまでは「原材料の有償支給業務に対応するため、先行導入した調達管理システムで開発した債権債務機能相殺を利用しつつ、SAP標準の外注管理機能や資材所要量計画(MRP)機能を活用し、仕入先の在庫状況に合わせた支給計画や支給品の調達計画を実現しました」(鄭)

さらに別のお客さまでは「異なるオーナー部門が管理する複数の生産プラントに対して、それぞれのシステム改修を最小限に抑えるとともに、SAPのMRP機能を活用した生産業務の改革を実現しました。この案件でとくに工夫したのが、同一取引で発生した在庫評価、債務計上を重複計上されないようにすることで、加えて経理部門のユーザーとも事前に緊密な説明や協議を行い、財務や原価管理に関する業務妥当性を判断できるレポート機能を開発するなど、全社的な合意形成を支援しました」(鄭)という。

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仕事と家事・育児の両立に奮闘する日々

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入社5年目の2015年に結婚した鄭だが、転機となったのが2021年6月の出産である。産休と育休を合わせて約13カ月間の休職期間の後、2022年5月に復職した。そしてERPコンサルタントとしての仕事も再開したのだ。

以降、鄭はほぼ半々の割合でリモート勤務とオフィス勤務を行っているのだが、とくに出社日は忙しい。5時半頃に起きて朝食の準備や出勤の支度を済ませたあと、6時半に子どもを起こして7時には保育園に送り届ける。夕方も17時に退社すると、今度はその足で保育園にお迎えに向かう。帰宅してからも、子どもに夕食を食べさせ、お風呂に入れたり、寝かしつけたり、その間にさまざまな家事もこなさなければならず、やることは山ほどある。

「B-EN-Gには非裁量職という人事制度があり、個人の事情によってあらかじめ勤務時間や出勤比率を決められるのでとても助かっています。『残業はできません』と宣言することも可能なのです。おかげでフリーランスのITコンサルタントとして活動している夫と、家事や子育ての分担を臨機応変にスイッチしたり、お互いに助け合ったりしながら、仕事と家庭を両立できています」(鄭)

顧客自身に“気づき”を与えて変革を後押し

B-EN-Gのビジネス現場も、出産・育児でしばらく休職していた鄭の一日も早い復職を待ち望んでいた。鄭の直属の上長であるエンタプライズソリューション2部長の浅井守はこう振り返る。

「鄭がSAPシステムの初期導入から担当してきた製造業のお客さまで、再度、新たな案件が立ち上がったのですが、お客さまから『鄭さんがプロジェクトに戻ってきてもらえるなら、とても心強くありがたい』と強い期待が寄せられました」(浅井)

鄭のどんな点が高く買われているのかというと、良い意味で「お客さまのリクエストに線引きしない」ことだという。「お客さまの課題は業務に起因するものとシステムに起因するものが複雑に絡み合っていますが、鄭はお客さまからの相談をいったんすべて受け止め、業務側で対処すべき要素とシステム側で対処すべき要素を切り分け、課題解決の道筋を示すのです。これは会計学の専門知識とERPパッケージの経験を併せ持つ鄭だからこそ可能なことであり、常に誠実な姿勢で課題解決に向き合う鄭に、お客さまから厚い信頼が寄せられているのです」(浅井)

そんな鄭の姿を物語るエピソードがある。それは既存のSAPシステムを分社化に対応させるというプロジェクトだった。新会社の操業開始日はすでに確定しており、それまでに確実な移行を完了しなければならないのだが、最大の問題は親会社と新会社の間で資産の分割方針を決めあぐねていたことだ。

「これが明確にならないことには、新会社のSAPシステムに対して既存の会計データをどこまで移すのか、切り分けることもできません。スケジュールはどんどんタイトになっていくばかりで、現場でも焦燥感が高まっていました」(鄭)

そこで鄭がとった策が、次のような移行ツールの開発だ。「まずは既存の親会社のSAPシステムを丸ごと新会社にコピーします。その上で資産分割の判定基準になり得る条件をパラメーター化するという工夫を施しました。これにより業務上の判定基準が変更された場合でもプログラムを改修することなく、パラメーター変更のみで資産対象外のデータの一括削除に迅速対応できます。兎にも角にも業務現場の混乱を抑えるとともに、SAPシステムの標準から外れた作り込みを避けるために考案したのがこの仕組みです」(鄭)

結果として、鄭が提供したこの移行方法が大きく奏功し、この製造業のお客さまは新会社の業務を予定どおりのスケジュールで開始することができた。しかも「このシステム移行に対する考え方は、いまではお客さまにおける標準的な手法のひとつとして定着しており、他部門でも採用されています」(浅井)

このケースでも言えるように、鄭は携わったさまざまなプロジェクトにおいて単に要求された機能要件を満たすだけでなく、顧客自身に数多くの“気づき”を与えることで、業務とシステムの両面からの変革を支えてきたのである。

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「企業の基幹業務をシステム面からサポートし、経営における上流から下流までのデータを統合的かつリアルタイムに管理し、経営の効率化を図ることがERPパッケージの導入目的です。したがって調達モジュールの導入であっても、生産モジュールの導入であっても、その裏側には必ず経営とつながる会計データがあり、さらにそのデータを利用する経理部門がいることを忘れてはなりません。」

「ERPコンサルタントとしては、専門とするSAPシステムの複数モジュールをまたいだ機能連携やデータ活用の仕組みを理解し、さらにシステム部門のみならず複数の業務部門や経営陣と会話できる業務知識を備えることを常に心がけています」と鄭は自らのポリシーを語り、ERPコンサルタントとしてのキャリアを今後もさらに高めていく考えだ。

 

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